イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 しかも、今日も私より先に会社にいるなんて。

 何時に出社してるんだ、ボスは?

「おはよう」

「おはようございます。あのう、これは?」 

 何の嫌がらせでしょう?

「見てわからない?シャーリーだよ」

 この返答。

 最近、どっかで似たような事あったよね?

「それは見てわかるんですけど、どういう事ですか?」

「君のだよ。シャーリーの遺品なんだ。映画の撮影で使ってたやつのレプリカなんだけど、俺が持ってても使えないし。イーサンが桃華のを駄目にしちゃったし、そのお詫びだよ」

「でも……これって博物館にあってもおかしくないじゃないですか?」

「亡くなったシャーリーはそういうのは喜ばないんだ」

「これは頂くわけには……」

 瑠海が私の言葉を遮る。

「約束して欲しい。クタクタになるまで使うって。君なら出来るだろう?」
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