イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい

「口は別です！それに、この恋人役まだ続けるつもりですか？」

「俺は別にやらなくても困らないけど。桃華次第だね。桃華が俺にどうしてもって頼むならまた恋人役やってあげてもいいよ」

「何ですか、その上から目線！もう頼みません、絶対に！」

「そう言ってられるのも今のうちだね、きっと」

　俺がクスクス笑うと、桃華がぷうっとほっぺたを膨らませた。

　フグだな。

　人差し指で桃華の頬をつつくと、彼女は負けじとさらに膨れっ面になった。

　だが、お腹に力を入れたせいか、桃華のお腹がきゅるると鳴る。

「そうだな。お腹空いたね。良いとこに連れてってあげるよ」

　笑いを堪えながら、桃華の手を引いて路地をそのまま歩く。