イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい

　私の言葉に瑠海が一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに余裕のある笑みを浮かべた。

「これじゃあ、イーサンと内緒話も出来ないな。気に入ったよ。明日から宜しく」

　瑠海が後ろ手に手を振ってイーサンと一緒にオフィスを出て行く。

　二度と戻って来ないでよ！

　彼の背中に向かって心の中で毒づいた。

「瑠海は色々と誤解され安いけど、悪い奴ではないよ。イーサンにつくよりは瑠海につく方が桃華ちゃんのステップアップになる。今にわかるよ」

「前田さんがいい上司なのが彼を見てよくわかります。前田さん本当にいなくなっちゃうんですね。寂しくなります。今まで本当にありがとうございました」

　用意した花束を渡したら、前田さんはにっこり笑って喜んでくれた。