イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
12、小さな変化 ー 瑠海side
 午前八時十六分。

 オフィスに桃華の姿はまだない。

 遅刻はしないと思うが、この様子だと始業時間ギリギリだろうな。

 副社長室を出て窓から外を眺めていると、セーラが現れた。

「なんだか嬉しそうね。パリでもそんな顔見なかったけど。桃華はそんなに面白い?」

 昨夜、小料理屋で桃華が寝たのには驚いた。

 あの警戒心のなさ。

 かなり問題ありだろう。

「昨日は助かったよ」

「あんな時間に呼び出すから何かと思ったわ。本人には言ったの?着替えは私がしたって?」

「どうかな?」

 桃華が寝た後は、車を呼んで自宅まで運び桃華の着替えをさせるのにセーラを呼んだ。
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