イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい

「じゃあ、また手繋ぐ？そんな神経質にならなくても今に慣れるよ」

　慣れてたまるか。

　エスコートされるのって……なんかむず痒い。

「うちのドレス着てるんだからもっと笑ってね。今日の桃華にはうちのドレスの宣伝って大仕事もあるんだからね」

「招待客に見せたってたかがしれてるじゃないですか？」

「招待客だけじゃないよ」

　瑠海の目は楽しそうだ。

　車で大使館まで移動し、エントランスの前で何百ものカメラのフラッシュが一斉にたかれた。

「うっ、まぶしい」　

　彗星でも爆発したのかってくらい眩しいのに、隣の瑠海は笑顔だ。

「桃華も笑って。仕事だよ」

　仕事と言われ仕方なく笑顔を貼り付ける。

　瑠海にエスコートされたままエントランスを抜けると、給仕からシャンパンを受け取り瑠海の横で著名人らしき人々と挨拶を交わした。