イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 兄と入れ替わるようにセーラが現れた。

「ねえねえ桃華、今のセクシーな男性誰?」

「うちの兄ですよ」

「桃華、私達友達よね!紹介して!」

 セーラが私の手をぎゅっと握ってくる。

「いや、ただの同僚……‼」

 そう言うと、セーラが手で私の口を塞いでニヤリとした。

「友達よ」

 有無を言わせぬこの眼力。

 仕方なくコクコク頷くと、彼女は私の口から手を離した。

 この兄妹……強引さが似ている。

 セーラに引きずられるようにして兄の元へ。

 彼女が無言で早く紹介してと圧力をかけてくる。

「お兄ちゃん、こちら瑠海の妹さんの……‼︎」

紹介しようとしたら、セーラは待ちきれないのか割って入った。

「セーラです。初めまして。桃華とは大親友で、今度一緒に食事に行きませんか?」
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