イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 こういう素直な反応が可愛いと思われてるなんて想像もしてないだろうな。

 おまけに本当に俺がそんな話を兄としたと信じてるらしい。

 こんな無自覚な彼女を心配する桃華の兄の気持ちはわかる。

 昨日のパーティでは、彼の方から俺に近づいて来た。

「相変わらず人気者だな」 

「人気者と言うよりは俺みたいのは珍獣なんですよ」

 俺は自嘲する。

 俺の周りに人が集まるのは、自分がルクエ公女の息子だからだ。

 それと、地位や権力、そして金。

 決して俺自身に関心があるわけじゃない。

「ずいぶんと面白い事を言うんだな。自惚れていい環境にいるのに」

「それは、誉め言葉と受け取っておきますよ。遅れましたが、参事官就任おめでとうございます。将来は官僚のトップじゃないですか?」
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