イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「お世辞はいい。本題に入ろうか。桃華をどうするつもりだ?こんな公の場所に同伴すれば、妹の顔は世界中に知れ渡るのは承知の上だろうな?」

「もちろんです。愛人じゃないですし、隠れて会うつもりはありませんよ。顔が世間に知れることで、桃華の行動もこれからはいろいろと制限されるでしょう」

 撮られた写真はすでにネットにも流れているだろうし、明日には新聞にも載る。

 特にここヨーロッパにいては、そのうちひとりで出歩けなくなるだろう。

 だが、パパラッチに勝手に撮られて公にされるよりはマシだ。

 護衛の手配はしてある。

 桃華はカンカンに怒るだろうが。

「桃華をずっと守る自信があるのか?」

 氷のような冷たい目で桃華の兄が俺を見据える。

「彼女が今持ってるシャーリーは祖母の形見です。祖母はあれを大事な女性にあげるようにと言って俺に譲ってくれたんですよ。桃華に渡した時は従弟の失態のお詫びくらいにしか思ってませんでしたが、最近……その事を思い出して、桃華だからあんなにあっさり譲れたのかって改めて納得しましたよ」
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