イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 雪が降ってきたし、身体も冷えてきたし、このままだと歩けなくなる。

 ペースを上げるが、視界には何も映らない。

「山小屋どこ?」

 こんなところにひとりぼっちは辛い。

 しかも、私……コース外れてない?

「ああ、もう!吹雪いてきてわからない」

 「遭難」の二文字が頭に浮かぶ。

 これはかなりマズイよ。

 今日中に下山出来なければ、私……カチンコチンに凍ってるかもしれない。

 発見された時には死体。

 身体がブルブルと震える。

 ええい、考えるな!

 どうすればいい?

 こんなに吹雪いているとなると、これ以上もう歩けない。
< 192 / 311 >

この作品をシェア

pagetop