イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 窓の外の天気は荒れている。

 このままでは桃華が危ない。

「イーサン、救助隊に連絡を」

「わかった」

 イーサンが電話をかけるが、表情は険しい。

 この天気で救助隊は出せないのか?

 こんなに吹雪いていてはそのうちリフトも止まるだろう。

 桃華は一体どこにいるんだ?

 雪で動けないだけじゃなく骨折でもしてたら……。

 そう思うといても立ってもいられない。

「瑠海、残念だが、この雪が止むまでは救助隊は出せないそうだ」

 手遅れになるかもしれないのに?

 焦りと怒りで自分の感情がコントロール出来なくなる。

「止むのを待ってたら、桃華が凍死する!」

 声を荒げてイーサンを睨み付ける。

 彼が悪いわけではないが、何かに当たらずにはいられなかった。
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