イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「おい、冷静になれよ!」 

「ここは俺の庭みたいなものだ。俺はこの山をよく知ってる。大丈夫、必ず戻る」

 イーサンの制止を振り切り、外へ出てリフトに乗る。

 吹雪で視界は最悪だ。

 桃華は無事だろうか。

 初心者があのコースをスキーで滑るのは至難の技だ。

 恐らく、スキー板を外して下山を試みたに違いない。

 だが、ここは歩いて下山出来るようなところじゃない。

 リフトを降りた周辺にいるはずだ。

 怪我をしてないといいが……。

 リフトを降りて周辺を探す。

「桃華ー、桃華ー」

 声を限りに叫び続けるが反応はない。

 もっと下に行ったのか?

 それとも……コースを外れた?
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