イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 あの桃華だ。

 自分の信じる道を突き進んでそのまま……なんて十分あり得る。

「急げ。早く見つけないと体温を奪われてまずい事になる」

 コースを外れ、桃華が迷いそうな場所を必死に探す。

 ここにもいないと諦めかけた時、ド派手なピンクが目に飛び込んで来た。

 ピンク?

 そうだ。

 今日の桃華はウェアも板も全部ピンクだった。

「あれは桃華のスキー板?」

 近づいて見てみると確かに桃華のスキー板で、その近くに小さなかまくららしきものがあった。

 そのかまくらの中に、桃華がいた。

 吹雪の中必死に穴を掘ったのだろうか?

 だが、相当疲れたのか、彼女はこんな状況なのに眠っている。

 桃華らしいというかなんというか。
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