イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 食料は何かないのか?

 小屋の中を物色すると、棚にはミネラルウォーターと非常食が置いてあった。

 取りあえず、しばらく救助されなくても食べ物の心配はない。

 自分もウェアを脱いでスマホを取り出すと、セーラにかけた。

 俺からの連絡を待っていたのか、ワンコールですぐにセーラが出る。

 スマホが繋がってホッとした。

「桃華を見つけた。無事だよ。作業員用の山小屋にいるからみんなに知らせて欲しい」

「良かった!本当に良かった。ごめんなさい」

 セーラが電話の向こうで安堵するのがわかる。

 この電話が来るまで生きた心地はしなかっただろう。

「それは桃華に直接言うんだよ。じゃあ、充電がなくなるとまずいから切る。よろしく頼むよ」

「うん。桃華のお兄さんもこっちに向かってる」

「わかった」
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