イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 ぎゃーと悲鳴を上げなかった自分を誉めてあげたい。

 雪の中にいたはずなのに、何で瑠海と一緒に寝てるの?

 状況が理解できない。

 ベッドと思っていたのは瑠海で……。

 チクッとしたのは多分彼の無精髭で……。

 お互い服は着てるみたいだけど、この状況は恥ずかしい。

 駄目だ。

 意識すると段々顔が火照ってくる。

 瑠海が目覚める前に起きなくては……。

 この顔を見られるわけにはいかない。

 またからかわれるのはごめんだ。

 瑠海を起こさないように自分の身体に絡み付いた彼の腕をそっと外して起き上がろうとすると、また彼にぎゅっと抱き締められた。

「ぎゃ‼」

 慌てて口を押さえる。
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