イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 ひょっとして起きてる?

 瑠海の顔をじっと見つめるが、目は閉じたままだ。

 彫刻のように綺麗なその顔。

 黙っていれば本当にハンサムな王子なのにね。

 何で彼のような人が私に興味を持ったのだろう。

 まだ美人の姉なら理解は出来る。

 容姿も十人並みで何の取り柄もない私なのに……。

 自分で言うのも悲しいが瑠海は意外とゲテモノ好きなのだろうか。

 う~ん、理解に苦しむ。

 何で私なのよ。

 瑠海の頬に人差し指でそっと触れてみる。

 規則正しい寝息。

 私が触れても起きないって事はよっぽど疲れているのだろうか。

 私が今ここにいるのは……瑠海が探して見つけてくれたから?

 ここは小さな小屋みたいだし、私達しかいない。
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