イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 あの吹雪の中を探すのは大変だっただろう。

 瑠海がいなかったら、私は今ごろ凍死してたかもしれない。

 瑠海だって私を探して遭難したかもしれない。

 王子さまだよ?

 そんな危険犯していいの?

 誰か止めようよ。

 イーサンは何してんだ。

 あの役立たず!

 また瑠海の腕を外そうとすると、彼と目が合った。

「寒い。もっと温めて」

 瑠海が私を見て微笑む。

 あー、あー、魔王が起きた。

 どうする?頭のいい中は大パニック。

 どっか隠れるとこない?

 闇がパクッと私を飲み込んでくれないかな。
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