イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 ハーッと思わず溜め息が出る。

 これからは公務が増えるだろうし、ルクエと東京の行き来をするのは距離的に難しくなるだろう。

 ルクエの皇太子と、会社の副社長の二足のわらじ。

 この両立が出来るかどうか甚だ疑問だ。

 それに、桃華はこの皇太子という地位をきっとマイナスに捉えるだろう。

 折角彼女も自分の気持ちを自覚したところなのに……。

 本当に厄介だな。

 物思いにふけっていると、急に扉がバタンと開く音がした。

「瑠海、これは一体どういう事ですか!メディアが私と瑠海の事を派手に報じてますよ。わかっててあのパーティに同伴しましたね!」

 桃華が護衛の制止も無視して、息急ききりながら部屋の中に飛び込んで来た。

 俺は目配せして護衛を下がらせる。
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