イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「今必死で口説いてるとこだよ。他の奴に譲る気はないけどね」

「あなたに口説かせるなんて、本当に貴重な女性ですね。ですが、無茶は程々になさいませんと陛下がお怒りになりますよ」

「叔父は勝手に怒らせておけばいい。俺ももう子供じゃないしね」

 叔父がルクエの経済を再建した手腕は尊敬するが、子供の頃のように何かと干渉されて説教されるのは御免だ。

「そんな事より、桃華の護衛を頼む。あれはそのうち必ず城を抜け出す。かなりストレスが溜まっているようだから」

 桃華はきっと俺に内緒で城を抜け出すだろう。

 彼女の性格からするとじっとしてるとは思えない。

 ルクエの街は安全だが、こんなに注目を浴びていては桃華ひとりで歩かせるのは危険だ。

 悪い輩はどこにでもいる。

「仰せのままに」

 レオンは微笑すると、一礼して部屋を出て行った。
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