イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
小さい頃、祖母は出掛けるときはいつもシャーリーバッグを持っていた。

 日傘やお菓子やタオルを中に詰め込んで。

 シャーリーバッグは映画の撮影の為に祖母が考案した。

 いろいろ詰め込めて持ち運べる頑丈で便利なバッグ。

 日常でラフに使用する。

 それが、祖母……シャーリーのポリシー。

 だか、車と同じくらい値のはるバックに傘を入れて使用する人間がどのくらいいるだろう。

 今ではすっかり金持ちのステイタスシンボルだ。

 シャーリーのポリシーを理解して使用している人間は少ない。

 もっとみんなに本当の意味でシャーリーバックの良さを知って欲しい。

 それは、シャーリーの孫である俺の我が儘かもしれない。
 
「普段はクールなのに、ばあさんの事となると熱くなるよな、瑠海は。女に対してもそれだけの情熱を傾けてみたら?」

「恋愛に夢中になって、俺の母親みたいになれって?冗談じゃない。そんなんで子供が生まれたら、子供が可哀想だろ」

 俺の母親は四度結婚している。

 そして、四度離婚。
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