イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「桃華と俺の赤ちゃん可愛いだろうな」

 瑠海が私の目を見て優しく微笑む。

 何でこの人は人が赤面するような事さらっと言えちゃうの?

 店主から綺麗にラッピングされた商品を受け取ると、瑠海と手を繋いでまた歩き出した。

 楽しい時間はあっという間に過ぎていく。

 息急ききりながら大聖堂のてっぺんまで登って、ふたりで夕日を眺めた。

「戻ろうか。夕食に遅れると誰かさんが怒るからね」

 誰かさんとは十中八九大公の事だろう。

 瑠海にも大公は怒るんだろうか?

「うん」

 ふたりで螺旋階段をゆっくり下りる。

 でも、下に下りるにつれて、何か言い争うような声が聞こえてきた。

「何の声だ?」
< 242 / 311 >

この作品をシェア

pagetop