イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 瑠海と一緒に手すりから下を見ると、護衛らしき人達とパパラッチが押し問答している。

 どうやら厄介な人達に私達の居場所がバレたらしい。

 でも、パパラッチの数が多過ぎて、護衛の人達は劣勢。

 一先ず上に逃げようとしたが、パパラッチが押し寄せてきてもみくちゃにされた。

 帽子も眼鏡もこの混乱でどこかに消えた。

 瑠海とも離れひとりでなんとか大聖堂の外に出たが、彼の姿は見えない。

 眼鏡がなくて視界がぼやける。

「瑠海?」

 呼んでも返事はない。

 代わりにパパラッチが私の周辺を囲む。

 怖くなって彼らを避けるようにシャッター音とフラッシュの中を走り抜けると、プップッーという車のクラクションが耳に響いた。
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