イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「本当にそうだといいが」

 大公が冷ややか目で私を見ると、瑠海の病室に入っていく。

「私って疫病神なのかな?」 

 大公から見ればそうなのだろう。

 息子を亡くしたばかりだし、甥まで亡くしたくない気持ちはよくわかる。

 城に戻ると、すぐにシャワーを浴びて着替えた。

 瑠海と一緒に買ったおくるみは、袋は汚れてしまったけど、中は無事だった。

 クローゼットの服を集めてスーツケースに無造作に入れる。

 しわになっても構わない。

何かしていないと泣き出しそうだった。

 数分で荷造りを終え、兄に電話をかける。

「お兄ちゃん、今大丈夫?」

『ああ、どうした?』

「……瑠海が私のせいで事故に遭っちゃって、怪我は大したことはないらしいんだけど、私……日本に戻ろうと思う」
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