イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「では、一緒にランチでも。ルクエの名物料理、美味しいんですよ」 

 セーラが帰ろうとする修の腕に強引に手をかける。

 だが、彼はその手を数秒じっと見つめたものの振りほどかなかった。

 これは修が落ちるのも時間の問題かな?

 そのまま病室を出ていくふたりを見て、ちょっと嬉しくなる。

 再びスマホを手に取り仕事関係のメールをチェックしていると、叔父が入ってきた。

「具合は大丈夫なのか?」

「ご心配をおかけしてすみません。こんなのかすり傷みたいなものです。そんな事より、ひとつ聞いて良いですか?」

「何だ?」

「相澤桃華に何か言いませんでしたか?」

「ここにいても辛いだけじゃないかとは言った」

 ……やっぱりそうか。
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