イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 叔父の目を見ながら真摯な表情で自分の意志を伝える。

 彼が何と言おうと、俺は考えを変えるつもりはない。

 例え顔を殴られたとしても。

「お、お前、自分が何を言ってるのかわかっているのか!」

 叔父が激昂して声を荒らげる。

 だが、俺は冷静だった。

 この人の反応は予想出来た。

 どんなに罵声を浴びたところで、俺は怯まない。

 桃華を守るためなら世界を敵に回してもいい。

「静かにして下さい。ここは病院ですよ」

「あの女のためにルクエを捨てると言うのか!下らん!」

「最初は将来大公になることも考えましたが、皇太子の結婚には大公と議会の承認がいる。それに、今ルクエはあなたのお陰で安定している。僕が大公にならなくても大丈夫でしょう。あなたにとっては、僕が皇太子になるよりイーサンがなる方が扱い易いと思いますよ。イーサンはあなたに逆らえない。結婚もあなたが選ぶ相手に文句は言わないでしょう。僕と違ってね」
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