イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 そう、瑠海が現れるから……私は……私は……。

 あんなキスするから、自分ももしかしたらって勘違いするんだ。

 嗚咽がこみ上げる。

 こうなったら、ここで瑠海が悔しがるくらいカニを食べまくってやる!

「瑠海のバカヤロー!」

 見えもしない夕日を想像しながら叫ぶ。

 波打ち際には白い波の花が咲いていた。

「誰が馬鹿だって?」

 瑠海の事を考えすぎて幻聴まで聞こえるようになったらしい。

 瑠海の声がするわけがない。

 彼はルクエでクリスマスパーティに出てるはずだ。

 私……病気かも。

 三十分以上ここで海を眺めてるし、手足はかじかんで感覚がない。
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