イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 私が振り返ると、瑠海は微笑んだ。

「もう皇太子じゃないよ」

「え?」

 今何て言った?

 皇太子じゃないってどういう事?

「王位継承権を放棄した」
 
「は?」

 姉じゃないけど、絶句せずにはいられなかった。

 王位継承権を放棄?

 え?

 ええー‼

 王位継承権って放棄出来るもんなの?

「何で……何で放棄なんか」

 頭は大混乱。

 一体何が起こったの?

「桃華と一緒にいたかったから」

 瑠海が晴れやかな笑顔を見せる。
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