イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「冠婚葬祭考えると黒でいいんじゃない」

 他人事のように投げやりな感じで言うと、兄が片眉を上げた。

 あっ、これはお説教される!

 慌てて口を閉じるが、出てしまった言葉はもう取り消せない。

 気まずい空気が流れそうになった時、聞き覚えのある声が響いた。

「キャメルの方がお似合いですよ」

げげっ!

声の主を見て、思わず顔をしかめる。

 それは瑠海だった。

 横に金髪美女を侍らせて、私の方に近づいてくる。

 何でここに?

 ああ、そうか。

 ここもうちの会社の傘下だった。

 副社長として挨拶に来たのか、それともただのプライベートか。
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