イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
小さい頃転勤族の家族と海外を転々としていたから、海外旅行には興味がない。
日本の方が落ち着くしね。
現在、兄が海外赴任中なので、兄の二LDKのマンションに居候中。
兄には家賃として毎月三万支払ってるけど、青山からうちの会社までドアツードアで三十分で通えるのだから凄く安い。
私がいつものように八時に会社に出勤すると、いつもは十時フレックスの副社長がデクスの上の私物を紙袋に入れていた。
まさかのレイオフ?
「前田さん、おはようございます。これは一体……」
挨拶はしたものの、妙な胸騒ぎがして顔が強張る。
「桃華ちゃん、おはよう。急に退職することになってね。二ヶ月前の健診で胃に異常が見つかって、精密検査を受けたんだが……結果が良くなくて来週から入院することになったんだ」
前田さんが私を見て力なく笑った。
きっと、送別会も嫌で内緒にしていたのかもしれない。送別会で暗い話なんかしたくないよね。みんなも暗くなってお通夜みたいになっちゃうし。
日本の方が落ち着くしね。
現在、兄が海外赴任中なので、兄の二LDKのマンションに居候中。
兄には家賃として毎月三万支払ってるけど、青山からうちの会社までドアツードアで三十分で通えるのだから凄く安い。
私がいつものように八時に会社に出勤すると、いつもは十時フレックスの副社長がデクスの上の私物を紙袋に入れていた。
まさかのレイオフ?
「前田さん、おはようございます。これは一体……」
挨拶はしたものの、妙な胸騒ぎがして顔が強張る。
「桃華ちゃん、おはよう。急に退職することになってね。二ヶ月前の健診で胃に異常が見つかって、精密検査を受けたんだが……結果が良くなくて来週から入院することになったんだ」
前田さんが私を見て力なく笑った。
きっと、送別会も嫌で内緒にしていたのかもしれない。送別会で暗い話なんかしたくないよね。みんなも暗くなってお通夜みたいになっちゃうし。