イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「変なとこで自慢するな」

 パシッと兄に頭を叩かれる。

「もうお兄ちゃん、止めてよ」

 頭を押さえながら抗議するが、兄は反応は冷ややかだ。

「今度の土曜、俺の後輩紹介するから空けておけ」

「お兄ちゃん、週末の朝は、いつもシャーリーに行くの知ってるでしょう?」

「シャーリーに一日中いる訳じゃないだろ。午後は空けておくように」

「後輩って誰なの?無駄だよ。お姉ちゃんみたいな美人ならともかく、私だよ。綺麗でも可愛くもないし、きっと、顔見て逃げるよ」

「大丈夫だ。世の中には変わり者もいる。蓼食う虫もって言うだろ?」

「……全然フォローになってないよ。その言葉」

呆れ顔で兄に文句を言った。

身内なら、「お前は可愛い」とか慰めの言葉言ってくれてもいいじゃない。

「そいつは俺と同じ外交官だし、性格も穏やかだ。お前の写真見せたら興味を示していたし、お前もきっと気に入る」

 そりゃあお兄ちゃんの前で私の事けなす訳にいかないでしょう?
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