イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「素直に味わえ。値段は気にするな」

 兄妹なのにこの差は何なんだろう。

 私はやっぱり回転寿司の方が落ち着く。

 根っからの庶民なのかもしれない。

 ある程度値段を知った上で、高級ネタを次ぎから次へと注文していく兄をある意味尊敬する。

 でも、これで驚いていてはいけない。

 そんな兄よりもセレブな人間が身近に現れたのだ。

 ああいう人って……。

「コンビニのお弁当食べるのかな?」

 中トロを見ながらポツリと呟く。

 何だか段々この中トロが瑠海に見えてきた。

「うー、お前なんか、こうして食べてやる!」

 中トロに一方的に喧嘩を吹っ掛け、一貫丸ごと口の中に放り込む。

 ……うわあ、このトロ口の中で溶けそう。
< 42 / 311 >

この作品をシェア

pagetop