イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい

「桃華ちゃん、ちょっといいかな？」　

　前田さんが私に気づいて声をかけると、イケメン達が一斉に私の方を向いた。

　プラチナブロンドの人は爽やかな笑みを浮かべているけど、ヘーゼルナッツの髪の人は営業スマイルを浮かべながらもどこか値踏みするような目で私を見ている。

　うっ、営業スマイルの人はなんか苦手な感じ。爽やか系が副社長なら良いけど……。

　そんなことを思いながら前田さんのところに行くと、イケメン達に紹介された。

「彼女が今話していたアシスタントです。桃華、こちらが新社長のイーサン・オベール氏、こちらは君が担当する新副社長の瑠海・アングラード氏だ」

　げっ、ヘーゼルナッツの髪の方が副社長だった。

　何だか扱いにくそう。

　ちょっと落胆しながらも、こちらも営業スマイルを浮かべ自己紹介する。