イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「そんな度胸ある奴なんていない。自己保身に忙しくてな。だが、誠介は使える。お前、次はワシントンだろう?順調だな」

「小笠原さんと先輩のお陰ですよ。ふたりがこければ僕も僻地に飛ばされますからね。五年後には日本に戻るつもりですが、戻れなかったら先輩戻して下さいね」

「アメリカ大使館なんて凄いんですね」

 エリートの中のエリートじゃない。

「お前なら自力で戻るだろう。大使の佐藤さんにも可愛がられてるんだろ?」

「お陰さまで」

「アメリカ大使の佐藤さんは小笠原さんの先輩だ。前の外務事務次官だった」

「え?でも外務省の官僚のトップが事務次官でしょう?何でまた大使なんかやるの?」

「アメリカ大使は特別なんですよ。外交の要ですし、名誉職なんです。外務事務次官経験者がアメリカ大使に就くケースが多いんですよ」
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