イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「へえ、そうなんだ。ただ上に行くだけじゃないんだね」

 事務次官の上があるなんて全然知らなかった。

「ワシントン良いですよ。桃華さんは英語も出来るし、大使館で一緒に働きませんか?」

「え?ワシントン?」

 いきなり話を振られ固まる。

 これは……言葉通りの意味なの?

 それとも……。

「お前が俺のマンションに住めるのも後3年だ。わかってるよな?」

 兄が私に冷たい視線を向ける。

「わかってるけど……ワシントンというのは急過ぎて」

「二十七歳だぞ。お前みたいにのんびりしてたら、そのうち四十になる。誠介がいれば安心だし、真剣に考えてみなさい」

「でも……私は……結婚とか本当に考えてなくて」

「ワシントンならキャリアも築けるし、選択肢も増えますよ。お互いの事徐々に知っていって、その上で僕の事も考えてみてくれませんか?」
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