イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 退屈な夜になりそうだ。

 多分、今日は質問攻めだろう。

 苦笑しながら桃華の横に座る。

 彼女の後ろには今朝言っていた深紅のシャーリーが置いてあった。

「瑠海は飲み物何にしますか?」

「桃華は何飲んでるの?」

「日本酒の大吟醸です」

「大吟醸か。いいね。俺も同じのもらおうかな。イーサンはいつから飲んでるのかな?」

「それが……十七時過ぎから自席で飲み始めたらしいんですけど……」

「困った奴だな」

 溜め息をつきながらイーサンをチラリと見ると、こいつは急に表情を変えた。

「うっ‼」

 イーサンが頬を膨らませ手で口を押さえる。

 マズイって思った。
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