イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 イーサンは後ろを向いて立ち上がるが、トイレには間に合わないと思ったのか、近くにあった桃華のシャーリーバッグの中に吐いた。

「あっ……」

 それを見た桃華は茫然としたまま動かなくなる。

「相澤さん、何ボーッとしてるの?お店の人にタオルもらってきて」

 イーサンの秘書が桃華に声をかけるが、桃華は聞こえないのか反応しない。

 相当ショックだったのだろう。

 まあ当然か。

 自分の金で買ったばかりのシャーリーが、イーサンのせいで汚れてしまったのだから。

「うっ、気持ち悪……」

 当のイーサンは何をやらかしたのか自覚なく、ひとり呻いている。

 本当に情けない。

 会社のトップが見せる姿じゃない。
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