Black World
誰も知らない、私と来陽の関係。


私さえ忘れたら、全てが元に戻るんじゃないか?


そんな楽な道に期待しながら、来陽との時間をなかったことにしたくなかった。


でも、成瀬は知っていた。


来陽が忘れて、私と来陽の関係が現実だったのかわからなくなっていた。


私は、夢を見ていたんじゃないかって。


そんな夢と現実の狭間で、身動きが取れなくなっていた。


だけど、成瀬が証明してくれた。


全てが、夢の時間だったわけじゃない。


ちゃんと、来陽との時間は存在していた。


それに安堵し、愚かな私は期待してしまうんだ。

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