Black World
「冗談、だよね?」


認められない。認めたくない。


「それが、今の医療の現状だ」

「そんな言葉で、片付けないでよ」


いつの間にか零れ落ちていた涙と、嗚咽にも似た言葉が零れた。


嘘だ、嘘だ、嘘だ。


全部、悪い夢だ。


「絢瀬」


千歳は力強く、私を抱き締める。


「ごめんな」


千歳は、何も悪くない。


ただ真実を、私が受け止められないだけ。


そんな私は、理不尽な現実を嘆くことしかできなかった。

来陽はいつ、自分の病気のことを知っただろう。


その時、どんな気持ちだったの?


どんなに辛かった?苦しかった?


ごめんね、来陽。


何も、気付いてあげられなくて、、、

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