Black World
来陽から、たくさんの愛をもらった。


その愛を、ちゃんと覚えている。


だから、どうしようもなく辛い。


もう、遅い。


時間は、今も刻々と進んでいる。


たった今、私は来陽の病気を知った。


でも、それも今は過去の話になるんだ。


ただ流れ続ける時間と同じように、人の心も簡単に割り切れたら良いのに。


そしたら、きっと誰も苦しまない。


誰も、傷付くこともないだろう。


誰かがこの世を去るより、こんなにも辛いことがあるんだね?


会いたい時に会えるのに、その人はもう居ない。


忘れられるくらいなら、死んだ方が良かった。


そう思ってしまう私は、とても酷い人間だ。

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