Black World
見えなかった世界
千歳は何も言わず、私が落ち着くのを待つ。


そして何事もなかったかのように


「明日も学校だろ?早く寝ろ」


千歳は、ベッドを貸してくれた。


当たり前のように流れる時間は、誰もが平等なはずなのに。


進む時間とは裏腹に、来陽の記憶は消えていく。


未来なんていらないから、過去に戻りたい。


どうして人生は、一方通行なんだろう。


人目を避け、隠すように育んだ愛は行ってしまったんだろう。


私のことを忘れる前の来陽に、もう一度会いたい。

< 195 / 232 >

この作品をシェア

pagetop