絶対に逃げられない部屋
良太が再び「だから何がないの?」たずねると、綾乃はにらみつけて、声を張り上げて言葉を返す。
「だから無いんだって!! 扉が!」
良太は首をかしげた。
「扉? 扉ならここにあるじゃん」
そう言って良太は赤い部屋と青い部屋をつなぐ扉のドアノブを掴んで、うちわで扇ぐようにぎぃぎぃと揺らした。
綾乃はため息をついて、諭すような声で言った。
「いい? その扉は赤い部屋と青い部屋をつなぐ扉でしょ。でもどこを探しても他に扉がないの。一体私たちはどこからこの部屋に入ったの?」
「あ・・・」
綾乃に言われるまで僕も気付いていなかった。