絶対に逃げられない部屋
会いたい人
僕らは円になって座り、一番会いたい人について真剣に話し合った。
本当に真剣に。
なぜなら、僕らはさきほど青い部屋で、人間以外なら何でも出せるという奇跡を体験しているのだ。
きっとこの貼り紙も、一番会いたい人の名前を書けば会えるのだろうと、確信に近い予測をしていた。
しばらく考えていたが、最初に立ち上がったのは良太だった。
「よし、俺決めた」
そう言って、良太は貼り紙の前に立った。
「誰? 誰の名前を書くの?」
良太は一つ深呼吸をして答えた。
「お父さんだよ」