絶対に逃げられない部屋
「じゃあ、俺が一番最初に書く」
良太は鉛筆で自分の父親の名前を書いた。
”本庄たける”
すると信じられないことが起きた。
良太が跡形もなく消えてしまったのだ。
僕らはてっきり青い部屋のように、名前を書いたら書いた名前の人物がやってくると思っていた。
だから良太の父親がここに来るものだと思っていた。
思わず綾乃と顔を見合わせた。
「え、なんで? 良太はどこ行っちゃったの?」
「わ、わからない。何がどうなってんだか・・・」
僕らは状況が飲み込めず、パニックになりかけていた。
この2つの部屋はやはり謎だ。人知をはるかに超えている。