絶対に逃げられない部屋
良太が消えた時、僕は初めその事実は悪く捉えていた。
もしかしたら良太の存在そのものが消えてしまったのではないか。
そんな風に考えていた。
が、視点を変えると違う結論が浮かび上がってきた。
良太はただ消えたのではなく、ここから脱出したと考えるほうが適切ではないか。
そんな考えが頭をよぎった。
もちろん、そんな確証はどこにもない。
なぜ、会いたい人の名前を書くことで脱出できるのかもわからない。
ただ、この空間から出る唯一の方法であることは、まぎれもない事実だった。