絶対に逃げられない部屋



僕はあの部屋が存在する意味をこう解釈した。




あの部屋は死にかけている人間が向かう場所であり、”生きる意志を問う”部屋ではないだろうか。




まだ生きたいのかどうかという意志は、会いたい人間によって判断される。



死んだ人間に会いたいという人間は、この世に未練はないものと判断されて死ぬことになり、生きている人間の名前を書いたものは、まだ生きる意志があるものと判断されて生かされる。



そんな神様の価値基準にもとづいて最後の審判が下される場所があの部屋なのだ。



おそらくもう一つの青い部屋は、貼紙に名前を書くまでの間に過ごす空間であり、死にたいか生きたいかを今一度考える場所として提供された空間なんじゃないかと。



僕はそう考えた。







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