絶対に逃げられない部屋
心配をかけてしまって申し訳ないという気持ちにひたってると、美和は鼻をすすりながら、バックから何かを出して僕に手渡した。
「はい、これ」
受け取るとそれは請求書だった。
ホテルの宿泊費とレストランの飲食代の請求書であり、僕には見覚えのないものだった。
「なにこれ?」
「あんたが寝てる間、この病院の近くのホテルで寝泊りしてたから。その請求書。ひとまずこれよろしく」
「いや、ちょっとまって。結構するんだけど」
「だからなに?」
美和の表情が先ほどとは打って変わって、非常に険しいものになっていた。
僕は慎重に言葉を選びながら、丁寧に言葉を返す。
「いや~入院費もあるから今月はちょっと厳しいかなぁって」
「さっき、この恩は必ず返すって言ったよね?」
「・・・はい」
僕に断る権利はなかった。