絶対に逃げられない部屋
僕がこれからの支払いのことを考えていると、
「私もお金ないから、払いたくても払えないしねー。バイトクビになっちゃったし」
美和はおもむろにそういった。
「え、なんでクビ?」
「だーかーら!! あんたにずっと付き添っててバイト休んだからに決まってるでしょ。あんた10日も寝てたんだから。だからこれからしばらくの生活費もよろしく」
「う・・・」
その後も美和の愚痴は止まることなく続いた。
夏休みに行くはずだったサークルの合宿に今回の事故で行けなかったこと。
警察に今回の事故についてたっぷり事情聴取を受けさせられたこと。
とにかく今回の事故でたくさんの人に心配をかけたんだからと罵られてしまった。
大怪我の僕にも美和は容赦がない。
しかし、僕は心の底では安心していた。
安らぎに似た安堵を感じていた。