絶対に逃げられない部屋
そんな僕の気持ちを知ることなく、2人は旅行の準備を始めた。
旅行当日はレンタカーを借りて、僕は自分から運転手をすると願い出た。
そして、キャンプ場に向かう途中、高速道路でカーブに差し掛かったとき。
僕はハンドルを切らず。
ブレーキではなく、アクセルを踏み込んだ。
一瞬、全身に強い衝撃を感じたけれど、すぐに僕の意識は途切れた。
美和のいない世界に未練などなかったし、生きていても仕方なかった。
このまま死ねば美和の心の中では、少なからず僕に対する申し訳なさや懺悔の気持ちが生まれるかもしれない。
それだけが死にゆく僕の最後の望みだった。
なのに僕らは気がつくとあの部屋にいた。
事故前後の記憶を失ったまま・・・。
それが全ての始まりだった。