(仮)flower
いや・・・お持ち帰りされたって言うのはちょっと違うかも。
別に、彼に『遊ばれた』と言う感覚はないわけだし・・・。
それでも、『一夜を共にした』のは間違いない訳で・・・。
あの日と変わらないカフェオレ色の片編み込みの髪の彼・・・。
名前は・・・ハヅキだったかな・・・。
ハヅキはドサリと私の隣の席にカバンを置き、椅子に座った。
あぁ、隣の席はハヅキなんだ・・・。
どっちにしろ、同じクラスであれば言い逃れなんて出来るはずない。
私は、小さく溜息をついた。
「もしかして・・・騙されてた?オレ。」
もうほぼ分かっているだろうに、わざとらしくそう聞いて来るハヅキがウザい。
・・・ってか、面倒くさくて仕方ない。
「騙されてたのはお互い様じゃない?」
正直、私もハヅキが同級生とは思っていなかったし。
「ん〜・・・、オレ、騙してはないよ?ただ、言わなかっただけだし?」
確かに、ハヅキは年のことは言わなかった。
でも、それは私も同じ。
私も『お酒は飲めるけど、年は内緒。』って言ったはずだもの。
「ま、いっか。お互い様・・・だもんな。席、隣なんだろ?オレは葉月 旺祐(ハヅキ オウスケ)。好きなように呼びな?ヨロシク。」
ハヅキはそう言うと、フェロモンそのままでふわりと優しく笑った。
この人、相当モテるんだろうな・・・。
私はそんな事を思いながら・・・
「寄島 柚杞(ヨリシマ ユズキ)です。ヨロシク。」
と、無表情で言った。