【完】私の好きなあいつは無口で俺様な二重人格くん。
──パンッ
俺はなにが起きたのか、わからなかった。
すぐには理解できなかったけれど、視界がさっきと変わった。
なんだろ、これ。
ちらりと横を見ると、悠真の母親が泣いて赤くなった目をしていた。
こっちをずっと冷たい目で見ている。
「アンタのせいよ! アンタさえいなければ、悠真はこんなことにはならなかったわ! アンタが死ねばよかったのに!!」
あぁ、そうか。
俺打たれたんだ。
打たれた事で、これが現実なんだと思い知らされる。
でも、痛さなんて全然なかった。
心の痛みの方が、大きかったから。
チラリと、柊と花梨を見る。
2人とも“えっ”という顔で見ている。
お前らも、俺が死ねばよかったって思ってるよな。
全部俺のせいなんだ。
ごめん……。
でもそれは、謝っても許されないこと。
俺、笑う資格あんの……?
俺、幸せになる資格あんの……?
「…‥ははっ…」
もうなにもかもわかんなくなった。
俺の中で、なにかが壊れたんだ。