【完】私の好きなあいつは無口で俺様な二重人格くん。
「あの、優くん寝てるみたいなので、私帰りますね」
くるりと体の向きを変えた。
「ねぇ、蓮菜さん」
帰ろうとすると、花梨さんに名前を呼ばれ振り返った。
「はい?」
「……私の彼氏とんないでね?」
「え?」
いきなり言われたことに、背中がゾクッとした。
「蓮菜さん、私の蓮の隣の席なんでしょ? 好きとかなんないでねって言ってるの」
隣の席ってこと知ってるんだ……。
「と、とるなんて、そんなことしないです」
「あ、ごめんなさい。私蓮と違う学校だから不安で……。蓮菜さんに八つ当りしてたよね。ごめんなさい」
なんだ。びっくりした。
でも、花梨さんいい人そう。
「西垣くんは、隣の席ってだけで、学校では無口なので話さないし! 好きにもなんないです」
私なに言ってるんだろ。
ウソつき。
もう好きなくせに。
でも、花梨さんは彼女だから不安にさせちゃだめだと思った。
「ほんと?」
今更ウソなんて言えない。